法定相続人がいない場合の相続手続きについて
今回は、法定相続人がいない場合の相続手続きについて、詳しく解説いたします。身近に起こる可能性のあるこのシチュエーションを知っておくことで、いざというときにお役立ていただければと思います。 法定相続人がいない場合とは? 遺言書がある場合は別で…

※本記事はメルマガ配信当時の法令・実務に基づいて執筆しています。最新の情報・運用については別途ご確認ください。
今回は、法定相続人がいない場合の相続手続きについて、詳しく解説いたします。身近に起こる可能性のあるこのシチュエーションを知っておくことで、いざというときにお役立ていただければと思います。
法定相続人がいない場合とは?
遺言書がある場合は別ですが、そうでない場合は相続人が相続手続きを行います。通常、相続人は配偶者および子、父母、兄弟姉妹、甥姪などが該当しますが(メルマガ第7弾参照)、これらの相続人が誰も存在しない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合など、相続人がいないという事態は起こり得ます。しかし、相続人がいないと、亡くなった人に対して貸金があって回収したい場合や、競売を申し立てたい場合、遺言書はないが亡くなった人をお世話してきたので遺産を分けてほしいなど、相続人がいればその相続人に対して請求できたことが、請求できなくなってしまいます。
そのような場合は「相続財産清算人の選任申立」を家庭裁判所へ申し立て、選任してもらい、その清算人に対して請求することになります。
「相続財産清算人の選任申立」とはどのような手続きか
手続きの流れ
相続人の調査被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を取り寄せ、本当に法定相続人が誰もいないことを確認します。司法書士に申立書作成を依頼した場合、取り寄せが可能です。
財産の確定被相続人の財産をできる限り把握する必要があります。不動産、預貯金、株式、保険など、わかる財産をリストアップします。ただし、相続人ではないため、その調査には限りがありますが、亡くなった人から通帳を預かっていたなどがあれば、それを財産として含めます。
相続財産清算人の選任家庭裁判所に申し立てを行い、相続財産清算人を選任してもらいます。ただし、裁判所へ納める予納金は多額になることがあるため、事前の検討が必要です。この清算人選任の申し立てができる人は、利害関係人に限られています。
相続財産清算人の業務
相続財産清算人が選任された後、清算人は「相続債権者・受遺者への請求申出の催告」という官報公告を行います。これは、債権者や潜在的な相続人に対して権利を主張するよう促すものです。公告後、2カ月以内に債権届を提出しないと、配当があった場合でも除外されます。
清算人は、被相続人の財産を換金します。不動産や動産があれば、原則として売却します。そして、弁済できるだけの財産があれば、公告期間終了後に債務を弁済します。債務の弁済が完了した後、残った財産があれば、特別縁故者に対して分与されます。それでもさらに財産が残る場合には、最終的に国庫に帰属します。相続財産清算人は、すべての手続きが完了したことを家庭裁判所に報告し、相続手続きが終了します。
法定相続人がいない場合の相続手続きは、通常の相続手続きと比べて複雑で、時間も費用もかかることが多いです。特に、相続財産管理人の選任申立や特別縁故者の申立など、家庭裁判所の関与が必要となるため、相続に関する手続きの専門家である司法書士などの助言を受けることを強くお勧めいたします。