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生前対策2026.09.12

司法書士が教えるシニアライフのお金の守り方(1)

司法書士として日々ご相談をお受けしていると「親がどこの銀行に口座を持っているのか分からない」「不動産の書類が見つからない」「本人に確認したいが意思疎通が難しい」といった、ご家族からの切実な声を耳にします。ご自身では「通帳の場所くらい家族も知…

司法書士が教えるシニアライフのお金の守り方シリーズ1

1元気なうちに始めたい「財産の棚卸し」

司法書士として日々ご相談をお受けしていると「親がどこの銀行に口座を持っているのか分からない」「不動産の書類が見つからない」「本人に確認したいが意思疎通が難しい」といった、ご家族からの切実な声を耳にします。

ご自身では「通帳の場所くらい家族も知っているだろう」「まだ元気だから、急いで準備する必要はない」と思っていても、実際に急に財産の管理が必要になったとき、預貯金や不動産の全体像が分からず、ご家族が困ってしまうケースがあります。このような事態を防ぐ為に、ご自身が元気なうちに財産を整理しておきませんか。

〈よくある相談事例〉

一人暮らしの80代のAさんが入院し、長女が身の回りの手続きをすることになりました。ところがAさんは、複数の銀行や証券会社と取引があり、通帳や書類の保管場所もばらばらでした。

長女が把握していたのは、生活費を出し入れしている銀行口座だけです。自宅を探すと、しばらく記帳されていない通帳、証券会社からの通知、契約内容が分からない保険会社の封筒などが見つかりました。さらに、Aさんが親から相続したはずの地方の土地が相続未了で親名義のまま残っており、その相続も行う必要があることが分かりました。

幸い、Aさんは長女からの質問に答えることができました。しかし長女は、「もう少し意思表示が難しい状態だったら、財産を確認するだけでも大変だった」と不安を感じられたそうです。

このように、財産が十分にあっても、その内容や保管場所が分からなければ、必要なときに活用できません。入院費や施設費を支払いたくても、本人以外が自由に預金を引き出せるとは限らない点にも注意が必要です。

〈財産を整理するときの注意点〉

財産の棚卸しでは、預貯金だけでなく、不動産、株式や投資信託、生命保険、貸金庫、貴金属、クレジットカード保有先なども確認します。住宅ローンやカードの未払金、他人の借金に対する保証など、「マイナスの財産」も忘れてはいけません。

近年は、ネット銀行やインターネット証券など、紙の通帳や郵便物がない財産も増えています。スマートフォンやパソコンの中にしか手掛かりがないと、家族が存在に気付かず後見や相続手続ができないことがあります。

〈今からできること〉

まずは、現在保有している財産と負債を、種類ごとに一覧にしてみましょう。正確な金額まで書かなくても、「金融機関名・支店名」「不動産の所在地」「保険会社名」「証券会社名」など、家族が手掛かりを得られる情報があれば役に立ちます。

次に、通帳、印鑑、不動産関係書類、保険証券などの保管場所を決めます。財産一覧は年に一度、誕生日や年末など時期を決めて見直すと続けやすくなります。不要な口座や使っていないクレジットカードを整理することも有効です。

さらに、将来、誰に財産管理を頼みたいかを考え、その人と話をしておきましょう。必要に応じて、遺言書作成、任意後見契約、財産管理等委任契約、家族信託などを検討します。適した方法は、家族関係や財産の内容によってそれぞれ異なります。ご自身に適した方法がわからない時は専門家に相談ください。

財産の棚卸しは、相続のためだけに行うものではありません。自分が安心して暮らし続けるため、そして万一の際に家族が迷わず動けるようにするためでもあるのです。